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HAND BLOCK PRINTING/ハンドブロックプリント

ハンドブロックプリントは、主に木製のスタンプを使用し、人の手でスタンプを押して模様を入れる染色技法です。それによって染められた布は『ハンドブロックプリント』と呼ばれたり、木版を使用した場合は『木版更紗』などと呼ばれています。

木版による染色は紀元前から行われていました。15世紀の大航海時代以降、インドで作られた木版更紗は欧州やアジアに広まり、世界中で多くの人々を魅了してきました。それと同時に、それぞれの土地の染色文化にも大きな影響を与えてきました。

木版はインドではチャパイと呼ばれており、耐久性があり伸縮の少ないチークやローズウッドが使われます。これらはチャパイの工房で専門の職人によって彫られます。彫刻で使われる平刀の先端部分のような鏨(たがね)を木に押し当て、それを棒で叩きながら掘っていきます。

   

その後、染めの工房で、このチャパイを使用したブロックプリントの染色作業が行われます。そこではチーパーと呼ばれる職人が木版を規則的に何度も布に押し当て染色します。染色作業の間、布は染液に浸されたり、鍋に入れて蒸されたり、外の洗い場で水に洗われコンクリートに叩きつけられたり、大地の上に広げられ太陽の熱で干されたりを繰り返します。


  インディゴ染め ブロックプリント 

 

一口にハンドブロックプリントと言っても、作られた地域の特性や宗教的背景、もしくは染料が化学染料か天然由来のものかなどにより、それぞれ個性的な特徴を持っています。

有名なのは、ジャイプールから車で1時間ほどのサンガネールで作られるブロックプリントが挙げられます。サンガネールでは科学染料を使用している為、色鮮やかなプリントが可能となっています。下の写真はアノーキ(ジャイプル)のハンカチ。

 
ANOHKIのハンカチ 

ジャイプールから30kmほど離れたバグルー村の、天然染料と泥防染によるバグループリントも有名です。藍染や深みのある色で素朴な図柄が多く見られます。

       

 

さらに、インド北東部ではパキスタンから移住してきた先祖を起源に持つイスラム教の人々によるアジュラクプリントも挙げられます。このプリントは天然染料で染められ、柄にもよりますが、多ければ15以上の工程を経て完成します。イスラミックで繊細な幾何学模様が有名です。下の写真はSufiyan Khatri氏と彼の工房で染められたプリント。

       
 ©️Sufiyan Khatri

また、温めたロウに木版を浸けて、それを布に押し当て防染する方法もあります。下の写真はインドのカッチ地方の工房で製作されている臈纈(ろうけつ)染めです。

      


ブロックプリントは全ての工程が人の手で行われる為、機械で均一的にプリントされたものとは異なる味わいがあります。

ところどころにかすれやちょっとした版のズレも見られますが、人間のリズムで生み出されたブロックプリントの布は、私たちの生活の中にスッと溶け込み、まるで私たちと同じリズムで息をしているようです。

そのようなアナログ的な心地良さがブロックプリントの魅力ではないでしょうか。